産業財閥モルガン家の要約

こんにちは、Bookeyへようこそ。今日は本「産業財閥モルガン家：アメリカ銀行王朝と現代金融の台頭」を解説します。 「ロンドンは金融の太陽系における太陽でした。シティ（ロンドンの金融街）の銀行家たちは、独自の権力者を自認していました。バリングスやロスチャイルドなどの企業は、帝国の備えを維持していて、ランチに誘われることは、国王に謁見されるかのようなものでした。」このように著者は、1930年代から1940年代のロンドンの金融界を描写しています。 ある日、1835年にアメリカ人のジョージ・ピーボディがロンドンに足を踏み入れました。ピーボディはマサチューセッツ州の貧しい家庭に生まれました。彼は10代の頃に父親が亡くなり、母親と6人の兄弟を養うために兄の店で働き始めました。彼の貧しい幼少期は、節約家で勤勉な人間に彼を育て上げました。彼は働き続け、財産を蓄積することに専念しました。 1838年、ジョージ・ピーボディはロンドンのムーア・ゲート31番地で彼のビジネスを開始しました。当時、彼の質素なオフィスにはカウンター、金庫、そしていくつかの机しかありませんでした。しかし、何年も後にこのみすぼらしいビジネスが豊かな金融帝国に成長すると想像できますか？この間にどれだけの伝説的な物語が生まれたでしょうか？金融帝国はどのように築かれたのでしょうか？これは、産業財閥モルガン家の物語です。 この本は、金融、歴史、政治、外交、および経済をまたがる古典的なビジネス文学です。モルガン家を物語の主人公として、ウォール街の栄華と没落の150年を描いています。本書は、産業財閥モルガン家が行ってきた政治家と金融家との間の仲介をほこりっぽい歴史記録から詳細に紹介し、モルガン家四世代によって築かれた神秘的な金融帝国を明らかにしています。 この本の著者であるロン・チャーノーは、PENアメリカンセンターの理事会会長です。彼は「ワシントン ワシントンの生涯」、「アレクサンダー・ハミルトン」、「タイタン ジョン・D・ロックフェラーの生涯」といった高い評価を受けている本を執筆しています。国民図書賞やピュリッツァー賞、アメリカ歴史図書賞など多くの賞を受賞しています。チャーノーは特に、金融・商業・政治の人物に関する伝記を書くのが非常に得意です。フォーチュン誌は彼を「アメリカ最高のビジネス伝記作家」と称しています。 それでは、この本の要点を3つのパートに分けてお伝えしましょう。 パート1： ケーリート時代のモルガン家（1838-1913） パート2： 外交時代のモルガン家（1913-1948） パート3： カジノ時代のモルガン家 (1948-1990)

モルガン家のバロン時代とは、1838年のジョージ・ピーボディのロンドンでのビジネス開始から1912年のピアポン・モルガンの死までの期間を指します。この70年間で、モルガン家は創設者2人とピアポン・モルガンのリーダーシップの下で繁栄しました。 モルガン家の創立者2人がどのように出会ったか見てみましょう。 1835年、アメリカを債務危機が襲いました。これは、州政府が英国の債権者に対して返済を間に合わせることができず、公共交通施設の建設が原因でした。そんな中、アメリカのジョージ・ピーボディが連邦政府からロンドンに行き、解決策を見つけるよう任命されました。彼は危機を解決するだけでなく、追加の800万ドルの融資を確保しました。これにより、彼はメリーランド州から6万ドルの手数料を受け取りましたが、新しい英国の知人から汚職と見られないように、それを放棄しました。また、この仕事により、彼は英国の金融界で名声を手に入れました。3年後、ジョージ・ピーボディはロンドンで海外貿易を資金調達し、株式や債券を発行し、高額の融資を提供するためのビジネスを立ち上げました。このビジネスはジョージ・ピーボディ・アンド・カンパニーと名付けられ、モルガン家の前身でした。 当時、アメリカの債券はイギリスでは人気がありませんでした。彼らの目には、ロンドンで成功するアメリカのビジネスはなかったのです。そこでピーボディは、アメリカの債券を売ることでお金を稼ぐのが難しいと感じました。しかし、彼は貧しい家庭の出身で、厳しい初期の生活を送っていたため、粘り強い性格と努力する習慣が身についていました。彼は平均して1日に10時間働き、2週連続で休むことはありませんでした。 10年後、彼の努力と不屈の努力がついに報われました。1848年のヨーロッパ諸国革命が大陸を席巻した結果、債券市場に大きな影響が及びました。比較的平和なアメリカの債券が今や好まれるようになっていました。その結果、ピーボディは以前に評価されていなかった政府債から大きな利益を得ることができました。まもなく、ピーボディは銀行業界を発展させるチャンスをつかみました。1854年には、ジョージ・ピーボディ・アンド・カンパニーの総資本金額が45万ポンドに達し、バーリング家とロスチャイルド家に次ぐ額でした。当時、彼らはヨーロッパの重要な銀行家一族であり、ロンドン市場で重要な役割を果たしていました。 モルガン家のもう一人の創設者は、ジュニアス・スペンサー・モルガンで、アメリカの裕福な家庭に生まれ、100万ドル以上の財産を相続しました。ボストンに移住したジュニアスは、J.M.ビーブ、モルガン・アンド・カンパニーを再編し、外国貿易と金融業務を開始しました。ここでジュニアス・モルガンの優れた業績がジョージ・ピーボディの目にとまりました。 しばらく接触した後、1854年10月にジュニアス・モルガンはジョージ・ピーボディ・アンド・カンパニーのパートナーとして正式に加わり、株式取引や為替業務、銀行信用などのビジネスを行いました。 これが、モルガン家の祖先であるジョージ・ピーボディとジュニアス・モルガンが出会った方法です。ジュニアス・モルガンが加わってからは、ジョージ・ピーボディが会社を最初に立ち上げたときよりも、ビジネスはよりスムーズに進みました。すぐに大きな成果を上げました。 1853年、トルコ、英国、フランスなどの国々がバルカン半島の支配権を争ってロシア帝国に相次いで宣戦布告し、クリミア戦争が勃発しました。戦争中、アメリカで食料品の価格が急上昇しました。食料を輸送するために西部鉄道も急速に発展しました。その結果、アメリカ株価が上昇しました。ロンドンのアメリカ鉄道債の主要販売元として、ジョージ・ピーボディ・アンド・カンパニーはこの上昇から大きな利益を得ることができました。 1857年には、この二人の会社が英国陸軍銃の100,000ポンドの出資してトランスアトランチック・ケーブルに投資しました。そして、1858年8月には、アメリカと英国間で最初の有線通話が行われ、トランスアトランチック・ケーブルの事業が正式に始まりましたが、1か月後にケーブルが切れて株価が急落しました。しかし、これは彼らの最も遠大な投資でした。このケーブルはアメリカのウォール街とイギリスのシティ金融センターをつなげ、モルガン家やアメリカの金融業界の発展に非常に有利な条件を生み出しました。 ジョージ・ピーボディが引退し、彼の企業からすべての資本を引き出すと、ジュニアスに古い事業名を使用させませんでした。失望に打ちひしがれたジュニアスは、会社の名前をJ.S.モルガン・アンド・カンパニーに変更しました。 次に、モルガン家のリーダーシップのもとでモルガン家がどのようにして巨大化していったのかを見てみましょう。 まず、組織の拡大があります。 J.S.モーガンアンドカンパニーがロンドン市場で輝いている頃、ジュニアス・モーガンの息子であるピアポントが1861年にニューヨークで従兄弟と共にJ.P.モーガン・アンド・カンパニーを設立しました。J.S.モーガンとJ.P.モーガンは、モルガン家の初期段階を形成しました。 ジュニアスがモーガン財閥の創設者であれば、息子のピアポントは帝国の技術者兼建築家です。1895年、ピアポントはロンドンのJ.S.モーガン・アンド・カンパニーを再編成し、人事を調整しました。当時、彼はすでにニューヨーク、フィラデルフィア、ロンドン、パリのモルガン家を完全に統制していました。それ以来、モルガン家の権力の中心はロンドンからニューヨークに移り、J.P.モーガン・アンド・カンパニーは家系の本部となりました。モルガン家はピアポントの指導のもとで、最も発展した時期を迎えました。 モルガン家の成長の第二の表れは、その地位の向上でした。 1870年、フランコ・プロシア戦争での敗北を受けて、フランスは緊急に資金調達を求めました。前もってフランスが最終的に返済を拒むかもしれないと予想されたため、この資金調達は非常にリスクが高かったです。ロンドンの銀行家たち、ロスチャイルド家を含めて、誰もフランスにお金を貸す勇気がありませんでした。しかし、ジュニアスはこの機会を捉え、フランス政府に財政支援を行いました。彼は多くのフランス文書を研究した後、フランス政府に5,000万ドルの融資を行うことに決めました。彼の決定は正しかったことが証明され、フランスはわずか3年後に債権を前倒しで返済しました。その結果、J.S.モーガン&カンパニーは750万ドルの利益を上げ、政府の財政資金調達の上位ランクにまで駆け上がりました。ジュニアス自身も、成功した男からシティの有力者に変わりました。 1871年、ピアポントはアンソニー・ドレクセルと提携し、ドレクセル・モーガン・アンド・カンパニーを設立して鉄道金融に特化しました。ドレクセル家はフランスでは名家であり、家族のメンバーはフィラデルフィアの多くの有名な家族と結婚していました。そのため、モーガンとドレクセルの同盟は、モーガン家に上流階級のイメージをもたらすだけでなく、ニューヨーク、フィラデルフィア、ロンドン、パリでの確固たる地位を築くことができ、国際的な発展の余地を生み出しました。 モルガン家の成長の第三の表れは、金融力の増加でした。 アメリカ南北戦争が勃発した後、ピアポントは時代遅れのカービン銃を売り、金を買い漁りました。彼は秘密裏に500万ドル相当の金を購入し、北軍が勝利して金の価格が上昇した時に売却しました。この投資から彼は大金を稼ぎました。ピアポントがアメリカ南北戦争を利用して血金を稼いだという人もいましたが、彼の商才と大胆さがモーガン家の最高潮に至る原動力であったことは否定できません。 その後、モーガン家は低金利で新しい債権を発行してワシントンに助けを求め、南北戦争で残された3億ドルの負債を返済しました。その後、モルガン家は南北戦争中の兵士の給与の支払いを1％の手数料で処理し、南北戦争の貸し倒れ最後のローンを引き受けました。これにより、彼らは無事にアメリカの金融界の最高ランクに進出しました。会社の力と評判はさらに上昇し、最終的にロスチャイルド家とバリング家を追い越しました。 モルガン家の台頭の第四の表れは、独占の樹立でした。 起業家たちの台頭により、アメリカでは競合企業に対して価格競争を利用してプレッシャーをかけるようになりました。これは鉄道業界で最も顕著でした。しかし、過度の市場競争は、ポジティブな利益をもたらすどころか、企業を圧倒しました。銀行や企業は、破産危機に巻き込まれ始めました。 これは産業財閥モルガン家にとって別の機会となりました。彼らはこれらの企業が破産を免れるための再編計画を立案・実行するのを支援し始めました。こうしてモルガン家は徐々に権力の中心に入り込んでいきました。有名なゼネラル・エレクトリック社も、この状況下でモルガン家に買収されました。モルガン家とゼネラル・エレクトリックとは切っても切れない関係が築かれていきました。それに加えて、ピアポントはエリー、ノーザン・パシフィック、ニューヨーク・セントラル、サザン・レイルウェイなどの破産した鉄道会社の再編にも力を貸しました。 鉄道業界を支配した後、ピアポントは強力な財力に頼ってアンドリュー・カーネギーの鉄鋼会社と合併しました。その後、慎重な計画のもと、ピアポントは10を超える大手・中堅鉄鋼会社を合併させ、U.S.スチールを設立して鉄鋼業界の独占を築きました。同時に、モルガン家は当時最大の農業機械会社を合併・設立し、アメリカン・シッピング・カンパニー、アメリカン・テレフォン・アンド・テレグラフ・カンパニー、ナイアガラ・フォールズ・エレクトリック・カンパニーなどの大手公共事業会社も手中に収めました。 1912年までに、産業財閥モルガン家はアメリカ内で53の企業を支配し、鉄道や海運を含む交通網を広げました。有名なタイタニック号もこの独占の産物でした。 しかし、モルガン家が独占にしがみつく一方で、彼らの不運も静かに迫っていました。 ご存知の通り、モルガン家設計のタイタニック号は1912年に沈没し、世界中に衝撃を与えました。これは人類史上の惨事であると同時に、モルガン家の運命を覆す出来事でした。その直後、1907年の金融危機を経験したばかりのアメリカ国民の怒りがモルガン家に向けられることとなりました。 アメリカ国民は、経済危機は「マネー・トラスト」と呼ばれる、世界の政治的権力と金融的富を一握りの強力な勢力が支配するというコンセプトによるものだと信じていました。彼らは政府に銀行業界の巨人たち、中でもモルガン家に対する処罰を求めました。当時75歳のピアポントは、聴聞会に出席し、尋問を受けることを強制されました。常に誇り高かったピアポントは、これに非常に憤りを感じ、精神的に崩れ、1913年3月31日に亡くなりました。 これで第1部分、産業財閥モルガン家の封建時代の物語が終わります。簡単に振り返ってみましょう。1838年、ジョージ・ピー体はロンドンで小さなビジネスを立ち上げ、ジョージ・ペアボディ・アンド・カンパニーと名付けました。1854年、ジュニアス・モルガンがその事業に参画しました。ペアボディの引退後、ジュニアス・モルガンは事業を引き継ぎ、「J.S.モルガン・アンド・カンパニー」に社名を変更しました。ジュニアスとその息子のピアポントは、その事業をさらに拡大し、コングロマリットの地位と財勢を拡大しました。ピアポントは自らJ.P.モルガン・アンド・カンパニーを立ち上げ、ヨーロッパやアメリカの主要都市にオフィスを設置し、後の産業財閥モルガン家本部となりました。1912年時点で、産業財閥モルガン家はアメリカ内で53の企業を支配し、いくつかの業界で独占を築いていました。産業財閥モルガン家の封建時代は、1913年ピアポントの死をもって終わり、産業財閥モルガン家の外交時代が幕を開けました。

次に、外交時代のモルガン家の面白い話をいくつか見ていきましょう。この時期、モルガン家は二つの世界大戦とその後の復興から巨額の利益と政治的資本を得ることができました。 ピアポントが亡くなった後、モルガン家の新しい相続人であるジャック・モルガンが、正式に産業財閥モルガン家の社長に就任しました。ジャックは先代とは違い、温和な性格で人々に親しみやすい態度で接していました。 彼は1893年にモルガン家に入り、パリで家族のビジネスの指導を行い、ニューヨークとフィラデルフィアのモルガン銀行のパートナーとして働きました。その後、ロンドンのJ. S. モルガン＆カンパニーに送られ、1905年に辞任しました。 しかし、モルガン家のパートナーとして、ジャック・モルガンはあまりうまくいっておらず、何度も失敗をしていました。そのため、温和な性格は評価されていましたが、彼は二流の人物と見なされていました。それにもかかわらず、彼の性格のおかげでモルガン家は、さらなる高みに達する機会を得ることができました。 ジャックの父であるピアポントは、すべてのことを自分でやって成功するような形を好みました。でも、ジャック・モルガンは政府の任務を達成するために、強力で独立した考えの持ち主であるパートナーたちのチームを必要としていました。彼は、優れたマネージャーたちが集まる銀行を築き上げました。ジャックが就任した後、すぐに彼は父親よりもリラックスした態度でビジネスを自由に運営することができるようにパワーをマネージャに委任しました。 ハリー・デイビスソンとトム・ラモントが彼の右腕となりました。リストラの後、ジャックは銀行で比較的緩やかな管理スタイルを採用し、パートナーたちに十分な権限を与えました。しかし、彼は彼らに対するコントロールを維持するいくつかの特権を保持しました。これにより、モルガン銀行は常に安全で安定した状態を保つことができました。 実際、ジャック・モルガンの経営は、現代の企業の経営に似ていました。みんなが適切なポジションにつき、あるレベルで権限を与えられました。この組織構造が産業財閥モルガン家のさらなる発展を助けました。二つの世界大戦中、モルガン家はジャック・モルガンの指導とハリー・デイビスソン、トム・ラモントの支援のもと、国際的な影響力を拡大しました。 ジャックが就任から1年後に第一次世界大戦が勃発しました。ハリー・デイビスソンは資産を築く絶好の機会を見逃しませんでした。1915年、デイビスソンは陸軍評議会と海軍省との商取引が成立し、馬総額1200万ドルを購入しました。その年の春、彼はフランスに対して300億ドルの購入を行い、3000万ドルの利益を得ました。この取引はモルガン家のビジネスで最も重要な取引の一つで、多額の利益を得るだけでなく、英国、フランスなどの国々と政治的な関係を築くことができました。 もう一人の右腕であるトム・ラモントは、デイビスソンが取引を行った後すぐに軍需品の購入を開始し、輸出も行いました。彼は、戦争中の国に毎日1000万ドル相当の軍需品を運びました。しかし、戦争が悪化するにつれて、兵器の需要が供給を上回るようになりました。そのため、ラモントは自分たちの軍事装備を生産する必要に迫られました。 武器工場を設立するためには、ラモントはまず政府からの承認を得なければならない。しかし、当時のアメリカでは孤立主義が主流であり、政府は戦争に参加することも干渉することもないという方針を堅持していた。しかし、多くの策謀の末、1915年にウィルソン政権はとうとう譲歩した。それ以来、産業財閥モルガン家は自ら武器工場を建設するだけでなく、他の同様の工場に融資を行うようになった。戦争後、産業財閥モルガン家は、その一部であるゼネラル・エレクトリックやU.S.スチールなどの企業とともに、大勝者となった。この頃には、アメリカの兵器生産能力は英仏を凌いでいた。 第一次世界大戦後、ヨーロッパ各国は必死に再建を求めた。各国がウォール街に融資を求め、産業財閥モルガン家はそのピーク時に世界で最も影響力のある私銀となった。彼らは最も信用できる顧客を選ぶことができるだけでなく、自ら膨大な国際ローンを取り扱うことができた。どんな外国債券であろうと、モルガン家が保証すれば、それは売れ行きがよくなる。 実際、産業財閥モルガン家の影響力は、金融力だけでなく、名声、銀行提携、政治関係にも現れていた。彼らはアメリカの資本市場の権威として外国政府と直接話すことができた。モルガン家などの金融機関が示した権力は、当時のアメリカ大統領であるウッドロウ・ウィルソンに強い影響を与え、彼はウォール街の富を使って新自由主義政策を実現しようと考えていた。そこで彼はモルガン家のような銀行家に大きな権限と自由を与えた。 富を歩み台に、ウィルソン大統領はモルガン家をはじめとするアメリカの銀行家たちを政府の大使として外国政府に派遣した。こうした状況下、ジャック・モルガンの右腕であるトム・ラモントが再び登場する。 1920年代、外交時代のモルガン家の星として、ラモントは外交戦略を用いて世界市場にモルガン家を押し上げた。デイビソンの死後、ラモントは産業財閥モルガン家のリーダーとなり、ウォール街の中心人物となった。その後の10年間、産業財閥モルガン家はアメリカの影の政府のような役割を果たした。 1920年、ラモントはアメリカ政府から極東を訪れるよう要請された。彼は外交官としてできる限りのことを行い、日本銀行総裁の井上順之助に歓迎された。また三井グループのリーダーと友情を築き、日本での関係網を築いた。これらはモルガン家が日本に進出するための重要な礎となった。 やがて、ラモントは同じ方法でメキシコ、イタリア、オーストリア、ドイツなどにも融資や債券を提供し、極東、ラテンアメリカ、ヨーロッパなどの地域で自身の影響力を確立した。この世界的な拡大により、産業財閥モルガン家の銀行網は1929年の経済危機までに総額780億ドルの富を蓄積することができた。これは当時のアメリカ全体の富の4分の1に相当し、同銀行はウォール街の中心地となっていた。 1929年、アメリカを経済危機が襲った。モルガン家は再び前進し、市場を救おうと試みた。しかし、今回は国の経済恐慌の全般的な傾向を転換することはできなかった。そのため、モルガン家は大きな財政上の損失と政治・学界からの批判を受け、望まない注目を集めることとなった。 1933年、ジャックは父親のピアポントが経験したことを耐えなければならなかった。彼は議会での聴聞会で尋問を受けた。これらの聴聞会の結果、産業財閥モルガン家は投資銀行のモルガン・スタンレー、商業銀行のJ.P.モルガン、ロンドンの投資銀行モルガン・グレンフェルに分割されるという結果となったガラス・スティーガル法が導入された。 分割された産業財閥モルガン家は徐々に市場を支配する力を失った。彼らは、投資した海外債券や融資に対する義務を履行することができなかった。そのため、モルガン金融帝国の強さは衰えた。 しかし、この状況は長くは続かなかった。第二次世界大戦の勃発に伴い、モルガン家

モルガン家の外交時代は、彼らが国際的な外交使節団と共に活動するようになり、1943年のジャック・モルガンの死とともに終わりました。1948年にラモントが亡くなり、モルガン家は新たなカジノ時代へと歩みを進めました。 第二次世界大戦後、資本市場はさらに拡大し、グローバル化が形成されつつありました。金融市場は商業銀行、投資銀行、保険会社、代理店、無数の貸し手で溢れていました。そのような分散した市場では、激しい競争が常態化し、銀行は顧客を支配する力を失いつつありました。これがカジノ時代であり、かつては顧客を選ぶ権利を持っていた銀行家たちが、ビジネスを奪い合う低俗なセールスマンに格下げされました。この状況下で、モルガン・スタンレー、モルガン・グレンフェル、JPモルガンはどのような方向に進んだのでしょうか。 まずモルガン・スタンレーについて見てみましょう。分割後、この投資銀行は元々のモルガン・グループから引き継いだ大量の債権を引き継ぎました。分割前に債券市場の不況を経験したのとは対照的に、モルガン・スタンレーは今や非常に順調であり、1950年代に最高額の債券のほとんどを生み出すことに責任を持っていました。 この時期、モルガン・スタンレーのパートナーたちは、他社と競争することも新規ビジネスを下品に探すこともせず、顧客に彼らとの独占的なビジネス関係を維持することを求めました。もし顧客が別の投資銀行に相談しようとすれば、彼らは別の行者を探すよう言われました。 しかし、多くの顧客はこのルールに縛られることなく、むしろ伝説的なモルガンとビジネスをしようと奔走していました。そしてモルガン・スタンレーは常に熱心に顧客に奉仕し、モルガン・バンキング・グループの名声を保ち続けました。世界は変わり、銀行家たちはかつての影響力と地位を持っていなくなりました。では、どのようにしてモルガン・スタンレーはそのかつての栄光を保っていたのでしょうか。この偉業は、そのリーダーであるハリー・モルガンのおかげでした。 ハリー・モルガンはモルガン家の第4世代の一員でした。彼は普段は会社ではなく自分のヨットで過ごす時間の方が多かったものの、モルガン・スタンレーの指揮を執り、基準を守ることを主張していました。 ハリーは自分をモルガン・スタンレー急行の制動係として位置づけていました。彼はいつでもモルガンの伝統を堅守するよう会社に求め、地位のない人々から聡明で意欲的な人々を選び出してエリートに育てることを主張していました。彼はパートナーよりも優れた人材を採用するモルガンの伝統に従って採用することを求めていました。このため、ハリーは毎年ハーバード・ビジネス・スクールを訪れて自ら候補者と面接を行い、最も有望な学生をモルガン・スタンレートップスして雇用するために努力していました。これがハリーの指導のもとでモルガン・スタンレーが成功し、一流の地位を維持できた方法です。 しかし、その後すぐに、モルガン・スタンレーが伝統を破棄し、激しい競争に参加せざるを得ない新たな状況が発生しました。 新たな市場の流れがモルガン・スタンレーに伝統を破ることを強い、新しい機会を求めるようになった時、ロバート・ボールドウィンが権力を握った。彼は物議を醸す人物だった。モルガン・スタンレーの救世主だと考える人もいれば、モルガン・スタンレーの発展の障害だと考える人もいた。 彼はエネルギッシュで、インスピレーションに満ち、独占的な存在であり、投資銀行戦略に対して非凡な洞察力を持っていた。モルガン・スタンレーでの役職に就いた後、ボールドウィンは、会社の経営陣が大きすぎて管理が行き届いていないと考えました。この伝統的な経営体制は、会社の発展に求められる需要には適合していませんでした。そこで、彼は会社の運営方法を完全に覆しました。 同時に、ボールドウィンは、モルガン・スタンレーが市場での主導権を維持したいのであれば、単に他社に債券を配布するだけではなく、証券取引所やマーケティングにビジネスを向ける必要があると信じていました。これを実現するために、彼は多数の営業員やトレーダーを雇い、彼らにパフォーマンスを重視させ、競争を促しました。「投資銀行をより競争力のあるものにする唯一の方法は、目をえぐり出すことだ」と言っていました。 こうして、貴族的な銀行業が壮絶な競争に取って代わられました。モルガン・スタンレーは誇りを捨て、身綱を決めずに合併や略奪に乗り出しました。 1971年、モルガン・スタンレーは公式にM&A(合併&買収)部門を設立し、証券取引所に参加して収益源を増やしました。その後、株を操作して、カナダの国際ニッケル社を世界最大の電気貯蓄バッテリー会社と合併させる手助けをしました。この合併は、モルガン・スタンレーの敵対的な買収プロジェクトの幕開けであり、また会社の歴史上重要な転換点でした。 1970年代のモルガン・スタンレーは急速に拡大しました。従業員数は250人から700人へと増え、急速に世界的なビジネスへと発展しました。1985年には、ウォール街で最も優れたM&Aビジネスを持つ投資銀行として、モルガン・スタンレーの純利益は8,200万ドルになりました。1987年の株価暴落も、彼らのビジネスに影響を与えるようなことはありませんでした。 1970年代から1980年代にかけて急速に発展し、好業績を上げていたモルガン・スタンレーですが、認めなければならないのは、かつての高貴で王子様のような会社とはまったく異なるものになっていたということです。現在のモルガン・スタンレーは、捕食的な利益追求の本能に従い、より高リスクなビジネスに従事していました。それは、金を稼ぐことに熱心で、誰よりもそれを上回ることを目指している巨大なウォール街の会社に成長していました。 さて、モルガン・グレンフェルについて話しましょう。 1960年代、ロンドンを拠点とする投資銀行のモルガン・グレンフェルも、敵対的買収の道に乗り出しました。しかし、モルガン・スタンレーのように成功することはできず、この新しい試みで衰退しました。 モルガン・グレンフェルの衰退は、ベンソン・アンド・ヘッジズ（B&H）という煙草会社の合併から始まりました。1968年5月、モルガン・グレンフェルは、インペリアル・タバコがB&Hの株式の36.5％を売却する手助けをしました。結果、株価が下がりました。この機にアメリカ煙草がB&Hを買収しました。 その当時、英国政府は企業の合併・買収を規制する一連の規制を導入していました。モーガン・グレンフェルは、アメリカン・タバコの買収を完結させるため、これらの規制に違反することになりました。このプロジェクトから100万ドルの報酬を得たものの、モーガン・グレンフェルの評判は、合併政策の公然たる違反のために傷つきました。 これに続いて、1986年にモーガン・グレンフェルのインサイダー取引・株価操作スキャンダルが発覚し、その影響力は急速に低下しました。3年後、モーガン・グレンフェルはドイツ銀行に買収され、歴史の舞台から完全に姿を消しました。 最後に、産業財閥モルガン家から独立した商業銀行であるJ.

それでは、今日のすべての内容をおさらいしましょう。ここで、産業財閥モルガン家の要点を振り返ります。 第一部では、封建時代のモルガン家について語りました。1838年、ジョージ・ピボディがロンドンで「ジョージ・ピボディ商会」を設立しました。1854年には、ジュニアス・モルガンがパートナーとしてファームに参加し、後にリーダーシップを引き継ぎ、企業名を「J.S. モルガン商会」に変更しました。その後、ジュニアスの息子であるピアポントが「J.P. モルガン商会」を設立し、ヨーロッパとアメリカの主要都市にオフィスを構えました。1912年までに、モルガン家はアメリカの53の企業を統制し、いくつかの産業に対する独占を築いていました。 第二部では、外交時代のモルガン家について取り上げました。1913年、ジャック・モルガンがJ.P.モルガン商会の社長に就任しました。モルガン家は、世界大戦を通じて戦争中の国に武器や軍需品を売り、戦後は同じ国に融資して再建を支援することで利益を上げました。この時期には、アメリカ政府がモルガン家を含む銀行家を使節として、海外政府と接触するようになり、彼らのビジネスをグローバル化する道を拓きました。最終的に、1933年のガラス・スティーガル法の導入により、モルガン帝国は3つの別々の企業に分割されることとなりました。 第3部では、産業財閥モルガン家がどのようにカジノ時代に適応していったかについて話しました。新時代に適応するために、モルガン・スタンレーは、敵対的買収を行う企業を支援するようになりました。これによって、ビジネスは急速に拡大し、ウォールストリートで強力な投資銀行の一つとなりました。一方、モルガン・グレンフェルはイギリスの合併・買収政策に違反し、ドイツ銀行に買収されました。J.P.モルガンは、ガランティ・トラスト・カンパニーとの合併によって市場力を高め、成長の道に再び乗り出しました。2000年には、J.P.モルガンはチェース・マンハッタン銀行と合併し、現在までアメリカ最大の銀行であるJ.P.モルガン・チェースが誕生しました。 モルガン家の物語は、現代の金融そのものの物語です。アメリカがまだ地域主義や自己疎外の束縛下にあった時代に、古いモルガン家はすでに独自のグローバル化の考えを持っていました。モルガン家ほど積極的な銀行は他にあるでしょうか。おそらくありません。著者チャーノウが言ったように、「これからもっと多くの取引が行われ、さらに多くの富が築かれるでしょうが、産業財閥モルガン家のような貴族は二度と現れることはありません」。